新鮮外傷(けが)

1.新鮮外傷(けが)
切り傷(切創・挫創)
包丁やカッターで切った場合や、何かにぶつけた際に生じた際に生じます。時間が経っていなければ縫合することで治療期間を短縮(1~2週間程度)し、きずあとを目立ちにくくできる可能性があります。
縫ったからといって傷あと自体がなくなるわけではありませんが、縫わない場合よりもきずあとが目立たなかったり、治癒までの時間を短縮できる可能性があります。また、一般的に時間をかけずになおしたきずあとの方がきずの引きつれやケロイドなどの異常瘢痕が生じにくいとされています。
診察で縫合が可能または縫合した方が良いと判断された場合、局所麻酔の注射をして痛みがなくなったことを確認した後(触った感覚は最後まで残ることが多いといわれています)に縫合を行います。傷口に異物が残っていたり汚染が強い場合は、麻酔が効いた後に食塩水などで傷口を洗浄することもあります。また、骨折なども疑われた場合は傷の処置に先立って先にレントゲンなどの画像の検査を行うことがあります。
縫合処置の後、痛み止め・化膿止め・軟膏などを処方します(傷の部位や程度により、処方内容が変わることがあります)。また、抜糸のための次回外来を予約して帰宅となります。
縫合処置を受けた日は安静にして、入浴や飲酒・運動は控えてください。
傷の洗浄は翌日から始めて頂きます。石鹸などで傷のところを優しく洗った後に軟膏を塗り、ガーゼなどで覆ってください(ガーゼ・テープは病院でお出しするとこはできないので院内の売店やドラックストアなどで購入してください)。たまに怖がって傷を全く洗わないで過ごす方がいますが、洗わないほうが細菌が増えて傷の感染につながります。そうすると傷が開いたり、治りが悪くなってしまいます。
また、傷口は浴槽などのたまった傷につけないほうが良いとされています。浴槽などの雑菌がつくだけでなく、水圧で雑菌が傷の奥まで入る可能性があるといわれています。シャワーなどの流水で洗浄するようにしてください。
※受傷してからある程度時間が経過した傷は、感染などによりせっかく縫合した傷が開く可能性が高くなります。そのため、縫合できる期間を過ぎてた場合は軟膏などによる処置を続けて少しずつ傷を小さくしていくため、治癒までに数週間単位で時間がかかることが多々あります。
時間帯や重症度等によっては当院で対応できないこともあります。受診を希望される際は必ず当院(電話:0299-97-2111)へお問い合わせください。


擦り傷(擦過創)
転倒などで皮膚に摩擦が加わることでできます。
基本的には洗浄・軟膏などによる処置を続けて細菌感染を防ぎながら、周囲から少しずつ皮膚が再生してくるのを待つことが治療となります。部位や深さなどの傷の状態次第で外用薬を調整することがあります。
処置の方法としては切り傷の場合と同様に石鹸などを使って流水で傷を洗ってください。
数週間単位で治療の継続が必要になります。


動物にかまれた(咬創)
イヌやネコ・ヒトなどの動物にかまれたさいにできる傷です。
動物の口の中には非常に多くの雑菌が存在しています。動物に咬まれた際に歯牙が皮膚の奥深くまで達すると、皮膚の下で雑菌が増殖し、感染源となります。動物にかまれた傷による感染症は重症化することが多く、四肢の切断や死亡例も数多く報告されています。そのため、自分で安易に判断せずに医療機関を受診することを強くお勧めします。
具体的な治療法としては抗菌薬(化膿止め)がメインになります。その他、傷の状態によっては傷の内部まで洗浄したり、軟膏などの外用薬を使います。
しかし、咬まれた部位の安静が保たれていない場合はたとえ適切な抗菌薬を使っていても感染が悪化する場合が往々にしてあります。そのため、例えば手を咬まれた場合などは感染が落ち着くまでは極力手を使わない・下におろした状態にしないことが必要です。
また、感染が落ち着いてくると自分の判断で抗菌薬の内服をやめてしまう方がいます。中途半端に抗菌薬を使用すると耐性菌(抗菌薬が効かない細菌)ができてしまいます。決して自分の判断で内服を中断しないようにしましょう。また、万一下痢などの副作用と思われる症状が出現した場合は受診した医療機関に相談するようにしましょう。


釣り針が刺さった
当院は海が近いため、釣り針が刺さって受診される方は少なくありません。釣り針は”かえし”がついているため、無理に抜こうとすると大きな傷ができてしまったり、周囲の神経・血管を損傷する可能性があるばかりか他の部位に刺さってしまうなどの2次被害を生じることがあります。そのため、医療機関を受診することをお勧めしますが、直接受診されても日時や時間帯などによっては対応が難しいこともあります。受診を希望される際は必ずあらかじめ当院(電話:0299-97-2111)へお問い合わせください。

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